目次
秋冬の空気が乾燥する時期になると、心配なのが愛犬・愛猫の皮膚トラブル。
予防すべきポイントを獣医師さんに聞きました。
取材・文/三浦香代子
北宮絵里先生
あさか台どうぶつ医療センター副院長
一般社団法人日本獣医皮膚科学会認定医・JAHA認定総合臨床医・ESVPS GPCert(SAS) ヨーロッパ外科認定医の資格を持ち、獣医皮膚科学のスペシャリストとしてペットの診察、治療を行う。愛犬はくろこちゃん(17歳・女の子・MIX)
インタビュー動画はこちら!
よくみられる皮膚トラブルはブドウ球菌などの細菌が引き起こす膿皮症、カビの一種が原因となるマラセチア皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎があります。アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎は人間のスギ花粉のように「これが原因」と特定するのは難しいため、ペットフードや住環境が原因になっていないか観察してあげましょう。
夏は長毛種の場合は蒸れたり、皮脂が多い場合はリードやハーネスでこすれて皮膚炎を起こしやすくなったりします。
冬は皮膚の乾燥や静電気、暖房器具による低温やけどなどのトラブルに注意が必要です。
ブドウ球菌などの細菌に感染することによって、皮膚の赤みやかゆみ、脱毛といった症状が起きる病気。膿のう疱ほうという膿うみがたまる水疱ができ、フケや円形の脱毛が見られる場合もあります。「かゆがって体をかいていると思ったら、膿皮症だったということもあります。
体の一部分だけでなく、全身に発症しますので、日ごろからシャンプーをして皮膚を清潔に保ちましょう。発症した場合は飲み薬での治療が中心となります」。
犬・猫の種類に関係なく、皮膚のトラブルは起こります。犬の長毛種であるシェルティやアメリカン・コッカー・スパニエルなどは毛をかき分け、
地肌をよく見て、トラブルの有無を確認してください。
短毛種の柴犬やフレンチ・ブルドッグなどは皮膚トラブルがあると、その部分の毛が浮いたように見えることもあります。
猫は避妊、去勢はしていても発情期シーズンに皮膚トラブルが出やすくなります。また、アビシニアンは皮膚トラブルが長引きがちで、薬量のコントロールが難しいように感じます。日ごろから皮膚の状態をよく観察してあげてください。
膿皮症など細菌が原因のものは人間には感染しません。ただ、糸状菌などカビが原因の皮膚トラブルはうつるので、家庭に赤ちゃんや高齢者の
方がいるときは注意してください。
猫の長毛種は無症状でも糸状菌を持っていることがあり、新しく迎えた子猫が実は糸状菌を持っていて、先住猫にうつってしまって毛が抜けてしまったというケースもあります。
糸状菌に感染した毛はちぎれて抜けやすく、それがまた感染源となるのでこまめな掃除を心がけましょう。
多頭飼育の場合は皮膚トラブルのある子は隔離し、マットやタオルは使い捨てのタイプを使うようにしましょう。
皮膚糸状菌症の症状例
近年は猛暑が続き、ペットにとっても過酷な環境ですよね。夏は高温多湿で蒸れ、皮膚トラブルが起きやすくなります。反対に冬は空気中の湿度が低く、部屋の中は暖房機器によって、さらに乾燥する場合も。
犬・猫は皮膚が乾燥するとかゆみやフケが出やすくなるので、加湿器を使ったり、ローションで保湿したりしてスキンケアを心がけましょう。
猫は暖房機器の風が苦手なので、直接風が当たらないよう工夫してあげてください。
冬になると暖房器具の前に陣取り、動かない……という子もいるのでは。ほほえましい姿ですが、ずっと暖房器具の近くにいると、皮膚が乾燥して赤みやかゆみが出るだけではなく、低温やけども心配です。
近づき過ぎないようにサークルを置いたり、温度調整をしたりしましょう。また、部屋が乾燥していると飼い主がなでたときにパチッと静電気が起き、犬・猫がびっくりしてしまうことも。部屋の湿度を50 〜60%に保つと静電気を防げます。
電気ストーブやホットカーペットは便利な反面、乾燥や低温やけどなどの皮膚トラブルに注意が必要です。犬・猫がずっと同じ姿勢で暖房に当た
り続けないよう、気をつけてあげてください。
冬になると、ホットカーペットに腹ばいになっていた部分が赤くなっている犬・猫を診察することがあります。その点、床暖房はエアコンと違って風が直接当たることがないため、乾燥を防ぎます。
また、部屋全体が均一に暖まるので、暖房器具に近づきすぎてやけどするリスクも減ります。
さらに、床全体が温まることで犬や猫が部屋の好きな場所でリラックスできるのも大きなメリットです。
皮膚トラブルを早期に発見するには日ごろのケアが欠かせません。シャンプーやグルーミングの際はかゆみや脱毛がないか、地肌をチェックして
ください。
小さいうちから定期的にケアをして、飼い主が体を触っても嫌がらないようにしておくのも大事です。
皮膚トラブルはひどくなればなるほど、治るには時間がかかります。中には湿疹だと思っていたら腫瘍だったということもあるので、なるべく早めの受診を意識してください。
大切なペットにはいつまでも元気でいてほしいですよね。そのためにはやはり日々のケアと観察が重要です。定期的なシャンプーや
グルーミング、脂性肌でシャンプーの回数が多い場合は低刺激のシャンプーを使いましょう。
マイクロバブルのシャワーは肌にやさしく、汚れがよく落ちるので当院でも使用しています。
食から皮膚トラブルを予防するならば、オメガ3脂肪酸などの必須脂肪酸が含まれたフードを取り入れるのもお勧めです。また、空気清浄機や加湿器はペットと飼い主の双方にプラスの効果があります。
ペットの衣食住を整え、お互いに元気に過ごせるように心がけましょう。
「動物病院の待合室を、飼い主様に愛される待合室へ」をモットーに、オーダーメイドのデジタルサイネージを全国で運営。医院の案内や診療メニューなど、待合室で愛犬・愛猫を持つ飼い主へ多彩なコンテンツを提供している。
あさか台どうぶつ医療センター
チーム医療による良質な一次診療サービスを基盤に、「皮膚科」「整形外科」など4つの専門外来を設け、高度医療にも対応している。ペットと長く暮らすために予防医療や食生活指導にも力を入れ、朝霞市、志木市など近隣の地域動物医療に貢献している。
住所:埼玉県朝霞市東弁財3 丁目16-13
Team HOPE
ペットの健康診断を推奨する獣医師団体で、「最良の医療は予防医療」だと考え、「ペットの健康診断の普及」「気軽に動物病院に相談する環境を整える」「ペットとの良好な共生を目指した環境づくり」という3つの活動に取り組む。
予防すべきポイントを獣医師さんに聞きました。
取材・文/三浦香代子
北宮絵里先生
あさか台どうぶつ医療センター副院長
一般社団法人日本獣医皮膚科学会認定医・JAHA認定総合臨床医・ESVPS GPCert(SAS) ヨーロッパ外科認定医の資格を持ち、獣医皮膚科学のスペシャリストとしてペットの診察、治療を行う。愛犬はくろこちゃん(17歳・女の子・MIX)
インタビュー動画はこちら!
Q: ワンちゃんやネコちゃんでよく見られる皮膚のトラブルにはどんなものがありますか?
A:膿皮症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎など。夏と冬では異なる皮膚トラブルが起きる可能性もよくみられる皮膚トラブルはブドウ球菌などの細菌が引き起こす膿皮症、カビの一種が原因となるマラセチア皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎があります。アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎は人間のスギ花粉のように「これが原因」と特定するのは難しいため、ペットフードや住環境が原因になっていないか観察してあげましょう。
夏は長毛種の場合は蒸れたり、皮脂が多い場合はリードやハーネスでこすれて皮膚炎を起こしやすくなったりします。
冬は皮膚の乾燥や静電気、暖房器具による低温やけどなどのトラブルに注意が必要です。
膿皮症(のうひしょう)とは?
ブドウ球菌などの細菌に感染することによって、皮膚の赤みやかゆみ、脱毛といった症状が起きる病気。膿のう疱ほうという膿うみがたまる水疱ができ、フケや円形の脱毛が見られる場合もあります。「かゆがって体をかいていると思ったら、膿皮症だったということもあります。
体の一部分だけでなく、全身に発症しますので、日ごろからシャンプーをして皮膚を清潔に保ちましょう。発症した場合は飲み薬での治療が中心となります」。
Q: 皮膚トラブルが多い特定の犬種や猫種はありますか?
A:犬種や猫種に関係なく皮膚トラブルは起きます。犬・猫の長毛種や猫のアビシニアンには特に注意を犬・猫の種類に関係なく、皮膚のトラブルは起こります。犬の長毛種であるシェルティやアメリカン・コッカー・スパニエルなどは毛をかき分け、
地肌をよく見て、トラブルの有無を確認してください。
短毛種の柴犬やフレンチ・ブルドッグなどは皮膚トラブルがあると、その部分の毛が浮いたように見えることもあります。
猫は避妊、去勢はしていても発情期シーズンに皮膚トラブルが出やすくなります。また、アビシニアンは皮膚トラブルが長引きがちで、薬量のコントロールが難しいように感じます。日ごろから皮膚の状態をよく観察してあげてください。
Q:皮膚トラブルは人間にうつりますか?
A:細菌性の皮膚炎は感染しませんが、カビが原因のものはうつります。掃除と衛生管理の徹底を膿皮症など細菌が原因のものは人間には感染しません。ただ、糸状菌などカビが原因の皮膚トラブルはうつるので、家庭に赤ちゃんや高齢者の
方がいるときは注意してください。
猫の長毛種は無症状でも糸状菌を持っていることがあり、新しく迎えた子猫が実は糸状菌を持っていて、先住猫にうつってしまって毛が抜けてしまったというケースもあります。
糸状菌に感染した毛はちぎれて抜けやすく、それがまた感染源となるのでこまめな掃除を心がけましょう。
多頭飼育の場合は皮膚トラブルのある子は隔離し、マットやタオルは使い捨てのタイプを使うようにしましょう。
皮膚糸状菌症の症状例
Q:季節の変化はペットの皮膚にどのように影響しますか?
A:寒暖差の激しい近年、夏の高温多湿、冬の乾燥がペットに悪影響を及ぼすケースも近年は猛暑が続き、ペットにとっても過酷な環境ですよね。夏は高温多湿で蒸れ、皮膚トラブルが起きやすくなります。反対に冬は空気中の湿度が低く、部屋の中は暖房機器によって、さらに乾燥する場合も。
犬・猫は皮膚が乾燥するとかゆみやフケが出やすくなるので、加湿器を使ったり、ローションで保湿したりしてスキンケアを心がけましょう。
猫は暖房機器の風が苦手なので、直接風が当たらないよう工夫してあげてください。
Q:冬の皮膚ケアのポイントは?
A:冬は空気中の湿度が低く、乾燥しがち。犬・猫とも乾燥によるかゆみ、静電気、暖房器具によるやけどに注意!冬になると暖房器具の前に陣取り、動かない……という子もいるのでは。ほほえましい姿ですが、ずっと暖房器具の近くにいると、皮膚が乾燥して赤みやかゆみが出るだけではなく、低温やけども心配です。
近づき過ぎないようにサークルを置いたり、温度調整をしたりしましょう。また、部屋が乾燥していると飼い主がなでたときにパチッと静電気が起き、犬・猫がびっくりしてしまうことも。部屋の湿度を50 〜60%に保つと静電気を防げます。
Q:ペットの皮膚や健康を守るためにどのような暖房を使用するのが良いのでしょうか?
A:電気ストーブやホットカーペットはやけどの心配が。部屋全体を温める床暖房を使っても電気ストーブやホットカーペットは便利な反面、乾燥や低温やけどなどの皮膚トラブルに注意が必要です。犬・猫がずっと同じ姿勢で暖房に当た
り続けないよう、気をつけてあげてください。
冬になると、ホットカーペットに腹ばいになっていた部分が赤くなっている犬・猫を診察することがあります。その点、床暖房はエアコンと違って風が直接当たることがないため、乾燥を防ぎます。
また、部屋全体が均一に暖まるので、暖房器具に近づきすぎてやけどするリスクも減ります。
さらに、床全体が温まることで犬や猫が部屋の好きな場所でリラックスできるのも大きなメリットです。
Q:皮膚トラブルを早期に発見する方法は?
A:小さいうちからシャンプーやグルーミングに慣れさせ、日ごろのケアを心がけて皮膚トラブルを早期に発見するには日ごろのケアが欠かせません。シャンプーやグルーミングの際はかゆみや脱毛がないか、地肌をチェックして
ください。
小さいうちから定期的にケアをして、飼い主が体を触っても嫌がらないようにしておくのも大事です。
皮膚トラブルはひどくなればなるほど、治るには時間がかかります。中には湿疹だと思っていたら腫瘍だったということもあるので、なるべく早めの受診を意識してください。
Q:飼い主が愛犬・愛猫の日々の健康的な暮らしを保つためにできることは?
A:日々のケアと観察を大切に。その上で衣食住を整えてあげると、さらに安心大切なペットにはいつまでも元気でいてほしいですよね。そのためにはやはり日々のケアと観察が重要です。定期的なシャンプーや
グルーミング、脂性肌でシャンプーの回数が多い場合は低刺激のシャンプーを使いましょう。
マイクロバブルのシャワーは肌にやさしく、汚れがよく落ちるので当院でも使用しています。
食から皮膚トラブルを予防するならば、オメガ3脂肪酸などの必須脂肪酸が含まれたフードを取り入れるのもお勧めです。また、空気清浄機や加湿器はペットと飼い主の双方にプラスの効果があります。
ペットの衣食住を整え、お互いに元気に過ごせるように心がけましょう。
Infomation
取材協力:株式会社ストックアンドフロー「動物病院の待合室を、飼い主様に愛される待合室へ」をモットーに、オーダーメイドのデジタルサイネージを全国で運営。医院の案内や診療メニューなど、待合室で愛犬・愛猫を持つ飼い主へ多彩なコンテンツを提供している。
あさか台どうぶつ医療センター
チーム医療による良質な一次診療サービスを基盤に、「皮膚科」「整形外科」など4つの専門外来を設け、高度医療にも対応している。ペットと長く暮らすために予防医療や食生活指導にも力を入れ、朝霞市、志木市など近隣の地域動物医療に貢献している。
住所:埼玉県朝霞市東弁財3 丁目16-13
Team HOPE
ペットの健康診断を推奨する獣医師団体で、「最良の医療は予防医療」だと考え、「ペットの健康診断の普及」「気軽に動物病院に相談する環境を整える」「ペットとの良好な共生を目指した環境づくり」という3つの活動に取り組む。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
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