目次
「さくらの里山科」は、全国でも数少ないペットと暮らせる特別養護老人ホーム。入居者さんと一緒の月日を過ごしたペットたちは、高齢の子がほとんどです。高齢者のために、また高齢犬・猫のための施設内での工夫を伺いました。
お話を伺ったのは・・・
若山 三千彦さん
社会福祉法人 心の会 理事長、さくらの里山科 施設長。著書に『看取り犬・文福 人の命に寄り添う奇跡のペット物語』(宝島社)がある。プライベートではチワワを飼う愛犬家。
そう語るのは特別養護老人ホーム さくらの里山科(神奈川県横須賀市)の施設長・若山三千彦さん。高校の教員を退職後、社会福祉法人心の会の創設に携わった若山さんは、高齢者のこと、そして福祉のことを全く知らなかった当時のことをこう語ります。
「介護が必要になると、いろいろなことを諦めなきゃいけないんですね。旅行だったり、買い物だったりと自分の好きなことを諦めている高齢者の方がほとんど。人生が不自由になるというのはこういうことかと思いました」
若山さんは、ある高齢者の方から「施設に入らなくてはならなくなり、つらい思いでペットを保健所に連れて行った」という話を聞きます。ペットを飼うことを諦めず、そのまま一緒に入居できる自宅のような施設を作りたい、そんな思いから「さくらの里山科」を平成24年に設立しました。
施設内の犬や猫は、入居者さんの食事やおやつの時間、睡眠時間以外は全て自由。飼い主ではない入居者さんの部屋に遊びに行ったり、一緒にベッドに寝たり、リビングでのんびりしたり…と思い思いに過ごしています。
「犬や猫も過ごしやすいんじゃないかなと思います。高齢者が安心・安全に暮らせる場所=犬猫も安心・安全な場所なんです」
例えば、少しの転倒でも大ごとになる高齢者。滑りにくい床は特別養護老人ホーム内で当然のように使われています。また、少しの段差でつまづくことがないように施設内はほぼ全てがバリアフリー。それは施設内の高齢犬・猫にも同様で、足腰への負担がとても少ないようです。
入居者さんが汚してしまっても掃除しやすいような床だったり、消臭効果のある壁だったり。ペット受け入れをするようになってから、高齢者施設は高齢犬・猫にとっても適した場所ということに若山さんは気がついたそうです。
同施設はアニマルセラピー犬・猫がいる、と思われることもあるそう。しかし若山さんは、アニマルセラピーを目的に入居させているのではないと言います。
「この施設は自宅のように暮らすのが目的の場所で、飼い主さんや入居者さんと一緒にいるだけの普通の犬や猫です」
一方で、触れ合うことで入居者さんが癒される部分は確かにあるとも語ります。犬や猫がそばにいたらなでたり、声をかけたり。それに応える形で入居者さんに頭を擦り寄せる犬や、ふり返る猫も見受けられます。「ペットとの生活」を諦めなかった入居者さんは、日々、とても穏やかに暮らしているそうです。
施設は100床あり、その中でペット同居できるフロアとそうでないフロアに分かれる。
施設の有名犬・文福(ぶんぷく)くんは「人の死」が近くなると、その人のベッドに上がり寄り添うという。
寝る時と食事中は、落ち着くケージの中へ。
ケージ内で2匹の猫たちがおやすみ中。
施設内は全て移動フリー。飼い主さんでない入居者さんのベッドで眠る猫も。
犬たちの散歩は毎日欠かさない。施設の裏にはドッグランがあり、ここでも外の空気を楽しむことができる。
滑りにくい床
高齢者の転倒にはキケンが伴うため、滑りにくい床は必須。高齢犬・猫の足腰にも優しい。
消臭効果の高い壁材
「高齢者施設はニオイとの戦い」と若山さん。壁材は消臭効果があるものを使用している。
腰壁
人が車椅子で傷つけても、犬がトイレに失敗しても、その部分だけ取り変えることが可能。
段差のない引き戸
緩やかに閉まる引き戸が多く、犬や猫をうっかり挟んでしまうことがない。
バリアフリー
車椅子の方も多い施設内。段差がないことにより、足腰の負担が大幅軽減。
特別養護老人ホーム さくらの里山科
〒238-0311
横須賀市太田和5-86-1
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お話を伺ったのは・・・
若山 三千彦さん
社会福祉法人 心の会 理事長、さくらの里山科 施設長。著書に『看取り犬・文福 人の命に寄り添う奇跡のペット物語』(宝島社)がある。プライベートではチワワを飼う愛犬家。
「好き」をあきらめさせたくないその思いで施設を設立
「この施設が、入居者さんとペットの自宅となることを目指しているんです」そう語るのは特別養護老人ホーム さくらの里山科(神奈川県横須賀市)の施設長・若山三千彦さん。高校の教員を退職後、社会福祉法人心の会の創設に携わった若山さんは、高齢者のこと、そして福祉のことを全く知らなかった当時のことをこう語ります。
「介護が必要になると、いろいろなことを諦めなきゃいけないんですね。旅行だったり、買い物だったりと自分の好きなことを諦めている高齢者の方がほとんど。人生が不自由になるというのはこういうことかと思いました」
若山さんは、ある高齢者の方から「施設に入らなくてはならなくなり、つらい思いでペットを保健所に連れて行った」という話を聞きます。ペットを飼うことを諦めず、そのまま一緒に入居できる自宅のような施設を作りたい、そんな思いから「さくらの里山科」を平成24年に設立しました。
施設内の犬や猫は、入居者さんの食事やおやつの時間、睡眠時間以外は全て自由。飼い主ではない入居者さんの部屋に遊びに行ったり、一緒にベッドに寝たり、リビングでのんびりしたり…と思い思いに過ごしています。
「犬や猫も過ごしやすいんじゃないかなと思います。高齢者が安心・安全に暮らせる場所=犬猫も安心・安全な場所なんです」
例えば、少しの転倒でも大ごとになる高齢者。滑りにくい床は特別養護老人ホーム内で当然のように使われています。また、少しの段差でつまづくことがないように施設内はほぼ全てがバリアフリー。それは施設内の高齢犬・猫にも同様で、足腰への負担がとても少ないようです。
入居者さんが汚してしまっても掃除しやすいような床だったり、消臭効果のある壁だったり。ペット受け入れをするようになってから、高齢者施設は高齢犬・猫にとっても適した場所ということに若山さんは気がついたそうです。
同施設はアニマルセラピー犬・猫がいる、と思われることもあるそう。しかし若山さんは、アニマルセラピーを目的に入居させているのではないと言います。
「この施設は自宅のように暮らすのが目的の場所で、飼い主さんや入居者さんと一緒にいるだけの普通の犬や猫です」
一方で、触れ合うことで入居者さんが癒される部分は確かにあるとも語ります。犬や猫がそばにいたらなでたり、声をかけたり。それに応える形で入居者さんに頭を擦り寄せる犬や、ふり返る猫も見受けられます。「ペットとの生活」を諦めなかった入居者さんは、日々、とても穏やかに暮らしているそうです。
施設は100床あり、その中でペット同居できるフロアとそうでないフロアに分かれる。
施設の有名犬・文福(ぶんぷく)くんは「人の死」が近くなると、その人のベッドに上がり寄り添うという。
寝る時と食事中は、落ち着くケージの中へ。
ケージ内で2匹の猫たちがおやすみ中。
施設内は全て移動フリー。飼い主さんでない入居者さんのベッドで眠る猫も。
犬たちの散歩は毎日欠かさない。施設の裏にはドッグランがあり、ここでも外の空気を楽しむことができる。
高齢者と犬、猫が安心・安全・快適に暮らせる工夫をチェック
滑りにくい床
高齢者の転倒にはキケンが伴うため、滑りにくい床は必須。高齢犬・猫の足腰にも優しい。
消臭効果の高い壁材
「高齢者施設はニオイとの戦い」と若山さん。壁材は消臭効果があるものを使用している。
腰壁
人が車椅子で傷つけても、犬がトイレに失敗しても、その部分だけ取り変えることが可能。
段差のない引き戸
緩やかに閉まる引き戸が多く、犬や猫をうっかり挟んでしまうことがない。
バリアフリー
車椅子の方も多い施設内。段差がないことにより、足腰の負担が大幅軽減。
取材協力
特別養護老人ホーム さくらの里山科
〒238-0311
横須賀市太田和5-86-1
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この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
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