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猫用ステップは購入することもできますが、オリジナルでDIYするのもおすすめです。
工夫次第で市販品よりも安く手に入り、何より愛着がわきます。自作のステップで愛猫が昼寝する姿を見ると、喜びがあふれるでしょう。
猫用ステップのDIYには、安全性が最も重要です。この記事では、作成方法と注意点を解説します。
DIYに慣れていない方でも、ポイントを押さえれば、安全に猫用ステップを作ることができます。
猫用ステップをDIYするメリット
インターネットで検索すると、さまざまな価格帯で猫用ステップが販売されています。デザインも豊富で選ぶのが難しいくらいです。
せっかく愛猫にステップを用意するなら、ぜひDIYにチャレンジしてみましょう。「節約できる・自由に設計できる・愛着がわく」というメリットがありますよ。
節約できる
DIYする場合、安全性を確保するのに十分な強度の材料を用意すれば、それ以外のコストはかかりません。
人件費や輸送費を節約できるので、比較的安価で立派な猫用ステップを手に入れることができます。
自由に設計できる
DIYすると、オリジナルで自由に設計することができます。
お部屋の広さに合わせてデザインを決められるので、スペースを無駄なく有効に使うことが可能です。インテリアになじむ色を塗れば、大型のステップでも圧迫感がありません。
愛着がわく
DIYは「デザインの設計・材料の用意・組み立て」というすべてのプロセスを自分で行うため、完成した時に満足感があります。
手間をかけて制作するため愛着もわき、さらに猫との暮らしが楽しくなるでしょう。
【DIY1】壁に直接ステップを設置する方法
壁に穴を開けてもよい場合には、ステップを直接壁に設置する方法が簡単です。壁の素材や強度を確かめ、しっかりと棚板を固定しましょう。
日本の住宅の壁は、約90%が石膏ボードにクロスが貼られています。石膏ボードには重い棚板を支えるほどの強度はないので、下地の有無によって固定方法が異なります。
下地のある場所に設置する場合
必要な道具
下地チェッカー・棚板・L字金具・木ネジ
DIYの手順・注意点
まずは下地チェッカーを使って壁の中の下地を探します。石膏ボードの内側に木材の硬い下地を見つけたら、棚板をつける場所を決めて印をつけます。
棚板を水平にして、L字金具と木ネジでしっかりと固定しましょう。水平器があると便利です。棚板にペンキで色を塗りたい場合は、組み立てる前に塗るのがおすすめです。
下地のある場所は硬いので、石膏ボード用のピンは使用できません。木ネジで固定してください。
下地のない場所に設置する場合
必要な道具
下地チェッカー・棚板・L字金具・ビス・石膏ボード用下地補強材
DIYの手順・注意点
まずは下地チェッカーを使って壁の中に下地がないことを確かめます。棚板をつける場所を決めたら印をつけます。棚板を水平にして、L字金具とビスで固定しましょう。
ビスを使用する際には石膏ボード用下地補強材を穴に塗りましょう。石膏ボードが崩れにくくなり、棚板がしっかりと固定されます。
石膏ボード用のピンは壁に跡が残りにくいですが、耐荷重が小さいので、ビスでの固定がおすすめです。
【DIY2】柱を使ってステップを設置する方法
壁に穴を開けたくない場合は、柱を使ってステップを設置できます。天井の強度を確かめてから柱を突っ張りましょう。
必要な道具
棚板・2×4材・ラブリコ(もしくはディアウォール)・L字金具・ビス
DIYの手順・注意点
まずは天井の高さを正確に測ります。柱を突っ張ってステップの構造を支えるため、天井の強度が重要です。天井は意外と弱いので、梁や桁に突っ張るのが理想的です。
柱には2×4材を使用します。ホームセンターで必要な長さにカットしてもらいましょう。柱の上下にラブリコもしくはディアウォールをはめ込み、床と天井で突っ張ります。
ラブリコはアジャスターを締めることによって柱を固定し、ディアウォールはバネの力で突っ張る仕組みです。強度に大きな差はありません。
ラブリコは5色から選べますが、ディアウォールは白色のみです。好みのデザインで選びましょう。
必要な本数の柱を立てたら、棚板を水平にしてL字金具とビスで固定します。ペンキで色を塗りたい場合は、組み立てる前に塗るのがおすすめです。
猫用ステップのおすすめカスタマイズ
猫用ステップを設置すると、愛猫は日常的に上下運動ができ、高い場所で寛ぐことも可能です。ここでは、さらに満足度を上げるカスタマイズアイデアをご紹介します。
ヒモを巻いて爪とぎ器にする
柱や棚板にヒモを巻いて「爪とぎ器」にするカスタマイズがおすすめです。猫は爪とぎをする習性がありますが、家具や壁などで爪とぎをされると飼い主さんの悩みの種になります。
猫用ステップを爪とぎ器兼用にすれば、愛猫の縄張りとしてお気に入りの場所になるでしょう。別で爪とぎ器を用意する必要もなくなるため、お部屋のスペースを有効活用できます。
麻ヒモと綿ヒモの2種類が主流です。
麻ヒモは、サイザルロープという名前でも販売されています。柔らかく爪が引っかかりやすい点がメリットですが、ニオイや研ぎカスが出やすいというデメリットがあります。
綿ヒモはニオイや研ぎカスが気になりにくい点がメリットですが、硬いので猫によっては好まれないというデメリットがあります。
滑り止めを貼る
棚板に薄いコルクマットやカーペットを貼ると滑りにくくなります。
猫は勢いよく棚板にジャンプすることがありますが、ツルツルした木材の場合には足を滑らせる可能性があります。最悪の場合、落下してケガをすることもあるため、滑り止め対策をしましょう。
薄いコルクマットやカーペットを齧ったり、爪とぎをしたりしてボロボロにしてしまう猫もいます。定期的にメンテナンスをして安全に管理しましょう。
猫用ステップをDIYする時の注意点
猫用ステップをDIYする時は「安全性」を最優先しましょう。おしゃれなデザインや材料の安さを重視しすぎると、簡単に破損して愛猫や飼い主さんがケガをする恐れがあります。
猫の体重・頭数を考慮した耐荷重
一般的な成猫の体重は3〜5キロです。体重は品種や性別、体格によって異なりますので、猫用ステップをDIYする前に愛猫の体重を把握しましょう。
愛猫が乗っても安全な耐荷重を知り、丈夫な材料を揃えて正しく固定することが大切です。100均のインテリア用飾り棚は強度が弱いので、猫用ステップの材料として使用しないようにしましょう。
多頭飼いの場合には、同じ棚板に複数の猫が集まることがあります。愛猫の体重や頭数を考慮して、必要な耐荷重を計算してください。
ステップを設置する壁・天井の強度
猫用ステップは、壁や天井の素材や強度を確かめてから設置しましょう。
壁に直接設置する場合には石膏ボードの内側に下地があるかないかで強度が異なります。下地チェッカーで確認することが必要です。
天井は意外と弱いため、できれば梁や桁の部分を選んで柱を突っ張りましょう。板を挟むことで、圧力を分散することもできます。
賃貸の場合は特に、部屋の壁や天井を傷つけるのは避けたいですね。退去時に修理費用を追加で請求されないためにも、DIYする際には十分に準備や計画をしましょう。
安全なステップの幅と長さ
安全に猫が使用できる棚板の幅は、単頭飼育の場合は最低150mm以上です。多頭飼いの場合は、2頭がすれ違えるように250mm以上にするのが理想的です。
棚板の幅が400mm以上あれば、横たわってゆったりと寝ることができます。猫は高い場所で寝るのが大好きなので、広い棚板があると気に入ってくれるでしょう。
また、棚板が長すぎると、愛猫がダッシュして落下の危険性が高まります。
1枚の長いステップでなくても、複数のステップが直線上に並ぶと全力疾走して遊ぶ可能性があるため、全長は3,000mm以下にしましょう。
掃除やお手入れしやすい高さ
猫用ステップは清潔面や安全性を考えて、管理しやすい高さにする必要があります。目安は2m程度です。
高すぎると、棚板で嘔吐や粗相をした時に掃除がしにくくなり不衛生です。お手入れが簡単でないと抜け毛やホコリがたまりやすく、愛猫が足を滑らせたりアレルギーを引き起こしたりします。
猫用ステップの高い位置で体調不良の愛猫がうずくまってしまった際にも、飼い主さんが抱きかかえられる高さにしましょう。
安全に上り下りできる高さ
猫用ステップの段差は、猫の体型や年齢を考慮して決めましょう。
成猫の場合の目安は300〜400mm程度です。子猫・シニア猫・マンチカンなどの短足種は、200〜250mm程度が目安となります。
運動能力には個体差があります。目安を参考にしながら、愛猫の特徴を考慮してサイズや段差を調節しましょう。
子猫の場合には、生後7ヵ月頃から本格的な猫用ステップが使えるようになります。それ以前は、低めの段差で遊ばせましょう。
また、猫の老化が始まる時期は7〜10歳です。身体の衰えには個体差があり、10歳を超えても活発な猫もいれば、7歳頃から寝てばかりになる猫もいます。
11歳を超えると一般的に運動能力が低くなり、「高齢期」といわれます。猫用ステップの段差を低くしたり階段状にしたりすると、安全な上り下りが可能です。
行き止まりのない設計
多頭飼いの場合、猫用ステップは複数の猫が共有して使うことを想定して設計しましょう。複数の経路を作って回遊性を確保することが大切です。
仲の良い猫同士でも、気分によってケンカすることがあります。行き止まりに追い詰められた猫が落下する可能性もあるので、逃げ場を用意することが必要です。
高い位置から飛び降りると、脱臼や骨折などのケガをする恐れがあります。猫は後ろ向きに進む動作が苦手なので、単頭飼いの場合でも行き止まりのない設計がおすすめです。
窓際に設置する際の脱走防止
窓際に猫用ステップがあると、外の景色がよく見えます。気分転換やストレス解消に役立ちますが、虫や小鳥に興奮した好奇心旺盛な猫が脱走する可能性もあります。
猫用ステップを窓際に設置する際は脱走防止をしましょう。網戸に脱走防止用のプラスチックネットを設置したり、網戸ロックをつけたりするのがおすすめです。
バルコニーやベランダに猫用ステップを設置する場合にも、隙間なくネットで囲むなどして安全対策をしっかりと行い、愛猫の脱走を防ぎましょう。
作業の準備と安全性の確保
猫用ステップのDIYをする際には、途中で材料が足りないということがないように準備しましょう。行き当たりばったりで作業すると、失敗する可能性が高くなります。
天井の高さを正確に測ったり、必要な道具をメモして買い物するなどの計画性が大切です。
また、慣れない作業はケガすることもあるため、2人以上で作業できると安心です。踏み台に乗ったり、重い板を抱えたりするので安全第一で制作しましょう。
作業中には、尖った道具などで愛猫がケガをしないように目を配る必要があります。ケージや違う部屋に隔離するのがおすすめです。
猫用ステップをDIYした後にすること
猫用ステップが完成したら、さっそく愛猫に使ってもらいましょう。警戒心の強い猫の場合、なかなか上ってくれないかもしれませんが、気に入ってくれると嬉しいですね。
市販の猫用ステップと同様に、定期的に安全性を確認しメンテナンスをしてください。
猫に知ってもらう
まずは愛猫を猫用ステップに誘導し、乗っても良い場所と認識してもらいましょう。
好奇心旺盛な猫はすぐに慣れてくれますが、臆病な猫はニオイを嗅いで逃げてしまうかもしれません。
オモチャでステップに誘ったり、段の上でおやつをあげたりして警戒心を取り除いてあげるのがおすすめです。飼い主さんや愛猫がよく過ごすリビングに設置すれば、次第に慣れてくれるでしょう。
猫は高い場所を好む習性があるため、猫用ステップを縄張り認定してくれることが多いです。頑張って制作した猫用ステップで寛いでくれると嬉しいですね。
定期的に点検する
DIYした猫用ステップは、安全性を定期的にチェックすることが重要です。しっかりと固定していても、ジャンプを繰り返すうちに緩んだり破損したりします。
愛猫が上り下りする時に柱や棚板がグラついていないかを日常的に目視し、時々は手で揺らして確認しましょう。破損に気づかずに使用を続けると、猫用ステップが倒れたり落下したりして危険です。
市販の猫用ステップも定期的なチェックが推奨されています。愛猫だけでなく飼い主さんの安全のためにも、面倒がらずに点検しましょう。
メンテナンスをする
猫用ステップを長く安全に使うためには、メンテナンスが重要です。日常的なお手入れとしては、抜け毛やホコリを取り除き、清潔に保ちましょう。
猫はキレイ好きなので、汚れやニオイがある場所を避けがちです。高い場所は見えにくいため、粗相や嘔吐をした場合には踏み台に乗って掃除をする必要があります。
また、滑り止めのマットや爪とぎ用のヒモが劣化してきたら、新しいものに取り換えましょう。こまめにメンテナンスをすると、愛着もわき、長く使うことができます。
【まとめ】猫が喜ぶステップをDIYしよう!
猫用ステップは必須のアイテムではありませんが、高い場所が大好きな猫の生活の質を上げてくれます。
市販されている製品を購入するのもおすすめですが、せっかくならDIYにチャレンジしてみましょう。
DIYは手間がかかりますが、節約ができます。猫用ステップの設置は「安全性」が最優先です。耐荷重を確認して材料を揃え、計画的に作業しましょう。
完成したら、オリジナルの作品をSNSで披露してみてはいかがでしょうか?愛猫との良い思い出になりますよ。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
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AMILIEには愛犬家住宅コーディネーター・愛猫家住宅コーディネーターの資格を持った会員の皆様が多数加盟しています。
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