目次
犬と快適に暮らす家を作りたいと考えている方は、ハウスメーカー・工務店・建築家の3つのどれかに依頼をすることになります。
依頼するときには、犬の生態や犬との暮らしに詳しい会社に依頼すべきです。こういった会社であれば、どのような間取りが最適なのか、犬にとって何が問題なのかなどを知っているので、快適な住宅を作ってくれます。
ここでは、犬と暮らすための家をイチから建てたいという方に、犬と暮らしやすい家を作ってくれる建築家を紹介します。
人と犬とが安心して暮らせる家作りのアドバイスを受けることで、納得のいく家作りをしましょう。
犬と暮らす家は建築家がおすすめ
予算が豊富にあり犬と暮らす家をイチから建てるときには、ここでは犬に詳しい建築家に依頼するのがおすすめです。
提案をたくさんもらえる
犬と暮らす家に精通した建築家は、愛犬家が多く犬の生態に詳しく、犬が暮らしやすい間取りや機能を提案してくれます。
犬と生活をしたことがないと「換気や空調設備が1年を通して必要」「大型犬でも家の中で飼う方が多いので広いスペースがいる」など、取り入れるべき設計をイメージするのは難しいかもしれません。
犬の知識が豊富な建築家にお願いすると、住環境に合った最適なアドバイスをしてもらえます。犬が元気なときだけでなく、老犬になってからのイメージもしながら設計をしてくれるため、安心して任せられます。
犬と暮らしやすい設計
犬に詳しい建築家だと、犬と人間双方の快適性や使い勝手を考慮して設計に取り入れてくれます。
- 犬への負担や安全性のためにゆるやかな階段にする
- 犬が安心できるプライベートスペースを作る
- 足を洗うための設備を玄関や勝手口のそばに作る
- 臭いを吸収できる壁材、滑りにくく掃除がしやすい床材を使う
上記は犬と暮らす家を作るときに取り入れておきたいことです。もし家の建築が完成したあとに変えたいと思っても、こういった設計は後で変えることができません。
犬に詳しい建築家に依頼すると、犬との生活を考慮して設計してくれるので安心です。
建売住宅では不便なことも
費用を抑えるために建売住宅の購入を検討している方もいると思います。
ただ、建売住宅の場合はすでに建っている家なので、「リビングに犬が走り回れるほどの広さがない」「玄関に足洗い場が設置できるスペースがない」などのように不便が生じる可能性があります。
リフォームで変更したり追加したりすることも可能ですが、費用や間取りの問題で実現するのが難しい場合もあるでしょう。
建築家に依頼する場合でも、広さや素材に工夫をすることで費用を抑えられる可能性もあります。まずは一度相談してみるとよいでしょう。
犬と暮らす家を作ってくれる建築家5選
ここからは、犬と暮らす家を作ってくれる建築家を紹介します。
1.前田敦
犬と暮らす家への考え方や設計の特徴
犬は一緒に暮らす家族との時間を重要視しますが、人の利用する環境は犬にとって危険が多いのも事実です。
前田敦氏はいつも人と一緒にいたい犬が安全に暮らせるように、双方にとって安全なバリアフリー環境を提供することを意識しています。
こだわりはコミュニケーションをデザインすることとのこと。犬の気持ちに配慮した設計には下記のような特徴があります。
- 人が外出するときも犬が見送りできるように、犬目線の「送迎の窓」がある
- 犬が自由に部屋を移動できるような「ペットドア」を設置
- 犬だけで過ごせる安全で安心の「プライベート空間」を用意
人からの一方的なコミュニケーションではなく、犬からも人にコミュニケーションを積極的に取りやすいように目線の配慮を大切にしています。
建築事例
犬の足腰に負担がかからないように、スロープがいくつも設置されている安心の家です。
家の中心はコンクリートの中庭のようになっており、そこから外の芝生の庭までつながっているので犬がのびのび走り回れます。
庭の部分は少し地面から上げているため外からは見えにくく、フェンスもついているので犬が逃げ出す心配もありません。
どの部屋にも大小窓がいくつもついているため、日中はどの部屋も日当たりがよく留守番中も明るい部屋で犬がまったり過ごせます。
経歴
一級建築士
最終学歴 | 日本大学大学院博士前期課程 修了(神谷宏治研究室) |
---|---|
最終職歴 | 株式会社ユーピーエム(八束はじめ建築計画室/チーフデザイナー) |
所属団体 | 公益社団法人日本建築家協会、建築家31会協同組合(国土交通大臣認可) |
参加プロジェクト | くまもとアートポリス、クリエイティブTOWN岡山 等 |
2.筒井紀博
犬と暮らす家への考え方や設計の特徴
筒井紀博氏は筒井紀博空間工房の代表です。
そこに存在する必然性がある空間を大事にしており、地域や周囲の人々とともに歳をとっていける建築を目指しています。
月日とともに素敵に変化していく住宅を作ってくれます。
よく相談したうえで、犬たちの動線を考えながら設計を進めていってくれるので安心です。
建築事例
犬と住む家「KI espace」は、2頭のラブラドールレトリバーと暮らすために建てられた住宅です。
テラスから直接散歩に出られるように、正門から屋上のデッキテラスまでがひと続きになるような動線で、犬も自由に移動できます。
水遊びが好きな愛犬のために、バスルームのすぐ外には小さなプールを設置。家の周囲を犬たちが走りまわれるようになっているので、暑い夏場は走ったあとにプールに飛び込むことができます。
室内は犬が入っていい場所とダメな場所との線引きを明確にしており、入ってはいけない部屋には引き戸があり、犬たちが自由に出入りできないようにしています。
経歴
一級建築士
最終学歴 | 日本大学理工学部海洋建築工学科 卒業 |
---|---|
最終職歴 | 平野智司計画工房 |
所属団体 | 日本建築学会正会員、日本建築家協会会員 |
参加プロジェクト | くまもとアートポリス、クリエイティブTOWN岡山 等 |
2.南啓史
考え方や設計の特徴
南啓史氏は無二建築事務所の代表で、大阪を中心に幅広い建築に携わっています。
家は人生をおくる舞台と考えており、普段快適に過ごしながらどこか「新しさ」を感じられるような家作りが特徴です。
家を作るときだけでなく、住み始めてからもどんどん愛着が沸いてくるような等身大で成長していける居場所となるような提案をしてくれるでしょう。
下記の2点をテーマに、人と犬がストレスフリーで暮らせるような設計で建材などにも配慮しています。
- 犬が安全に暮らせるように床も自然素材を使用
- 犬が本能に沿って遊べる空間作り
滑る・傷・臭いを想定して建材を選んでくれるだけでなく、犬の個性も大切にしながら人と犬が快適に暮らしていける家作りをしてくれるでしょう。
建築事例
建築してから約20年経った家を、犬と快適に暮らせるようにリフォームした物件です。
床はバンブー(竹材)を使用しているため、自然素材で人や犬に優しい住宅となっています。
バンブー素材は、傷がつきにくい、消臭効果・抗菌性・耐久性が高く弾力性もあります。静電気を帯びにくい性質もあるので、抜け毛が多くても掃除が楽です。
玄関の床下には犬の寝床を設けており夏は涼しく冬は暖かで、犬のプライバシーを守った設計です。
経歴
一級建築士
1999年 | 大阪工業大学建築学科 卒業 |
---|---|
2002年 | 大阪工業大学大学院工学研究科 修了 |
2002年 | 共同設計株式会社 |
2002年 | 大阪工業大学非常勤講師 |
2002年 | 京都造形芸術大学非常勤講師 |
2002年 | 中浦建築事務所に参画 |
2019年 | 無二建築設計事務所の代表就任(6月) |
3.廣瀬慶二
考え方や設計の特徴
犬と暮らす家を専門とした建築家です。人間にとっても犬にとってもストレスなく快適に暮らせるよう、家族と犬の生活実態を調べたり、行動パターンを予測したりするなどした情報も家作りに活かしています。
犬用の設備や特別な建材ばかりを多用することなく、実際に暮らすと気づかされるような機能的な設計が魅力です。
犬が思いっきり走れる空間を確保するのが難しいような狭い家では、空間を立体的に使う工夫で視覚的に広く見せる、家具を省いて圧迫感を減らすといったデザインも見せてくれます。
自然素材を多く用いてほしい、しつけしやすい環境にしてほしいなどの大まかなイメージや希望だけでもしっかりと取り入れ期待以上の家を作ってくれます。
建築事例
バセットハウスと快適に暮らすために、マンションのLDKをリフォームの一例です。
犬を室内飼いするにあたって必要となる、「ハウス」「トイレ」「食事スペース」「ケアグッズの収納場所」を家具の一部として製作。外見に影響しないナチュラルな空間に仕上げているのが大きな特徴です。
飼い主さんの悩みであった抜け毛の飛び散りには建具への工夫、臭いには通風格子戸を用いた「風の道」の確保と臭気吸着性の高い建材の使用による対策が施されています。
経歴
一級建築士
1996年 | 神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了(重村研究室) |
---|---|
1996年 | 株式会社瀬戸本淳建築研究室 |
2000年 | ファウナー級建築士事務所設立 |
2002年 | 有限会社ファウナプラス・デザインに改組 |
2008年 | 国土交通大臣賞受賞 |
2009年 | 中央動物専門学校 動物共生研究科非常勤講師 |
4.一條美賀
考え方や設計の特徴
長く付き合えるような一緒に成長していける家を目指して、飼い主さんがイメージするライフスタイルを設計に取り入れることを大事にしている建築家です。
犬を含めた家族とこれからどのような生活を送りたいのか、好きなものやこだわりなど、対話を重ねて様々な要望を引き出してくれます。
話をじっくりと聞いて提案してくれるので、まずは漠然とした思いを伝えるだけでもかまいません。そこから理想のデザイン、新たな考えを提案してくれるので安心して任せられます。
- 普段通りの生活を楽に送れる
- 自然の光と風の道を作って空調や機械に頼りすぎない
上記2点についても大切にしているようで、建築事例では心地よさそうな環境が伺えます。
建築事例
自然に囲まれた土地を活かした自然のエネルギーを感じられる開放的な物件です。特に目を引く広々とした土、間は玄関からリビング、テラスにまでつながっています。
親子4人に犬3匹が暮らすこの家にあえて個室を作らず、キッチンや水周りの収納家具の配置によって空間を大きく分けることで、どこにいても家族の気配を感じられる工夫をしています。
玄関の反対側に作られた犬のための足洗い場と、通り抜け可能な水周りの並びが犬との生活を意識した間取りとなっています。
経歴
一級建築士
1991 | 東京理科大学理工学部建築学科 卒業 |
---|---|
1992-95 | シーラカンス一級建築士事務所 |
1995-99 | 一級建築士事務所エアー 共同主宰 |
1999 | 一級建築士事務所まんぼう 設立(2001東京に移転) |
2007-11 | 職業能力開発総合大学校 非常勤講師 |
5.横山浩介
考え方や設計の特徴
家族みんながストレスなく笑って過ごせる家を理想とした建築がモットーの建築家です。飼い主さんとのコミュニケーションを重ねて要望をしっかりと取り入れてくれます。
そのほか下記のことを特に大事にしています。
- 光と風を取り入れること
- 建築家にしか作れない家を建てること
どんな環境であっても光と風を取り込むために、開口部を大きく取る、天窓や中庭を組み込むなどの工夫を欠かしていません。
ありきたりな設計にならないよう建築家ならではの発想を盛り込み、友人から羨ましがられるような個性の光る家を提案してくれます。
快適で機能的な住み心地を追求するため、自ら設計監理した事務所兼住宅で生活し、設計に反映させています。
建築事例
道路と隣家に挟まれた場所にあるため、道路側は開口部のないすっきりとした外観にしていますが、その分隣地側に大きな開口部を設置することで明るく開放的な空間としています。
隣地側はガラス張りとしていますが、ウッドフェンスで目隠しされているため外部からの視線は気になりません。
家族の集まるリビングにワンちゃん専用のスペースを設置し、気になる臭いは換気扇と消臭効果のある珪藻土で対策をしています。
経歴
一級建築士
1995年 | 関東学院大学工学部建築学科卒業 |
---|---|
1995年 | (株)松尾工務店 |
1999年 | (有)AMO設計事務所 |
2003年 | 横山浩介建築設計事務所設立 |
2008年 | 株式会社横山浩介建築設計事務所 |
まとめ
犬と暮らす家にとって大切なのは、犬と人間の両者が快適に暮らせるようにすること。
犬との暮らしや犬の知識が豊富な建築家に設計を依頼すれば、納得のいく家作りを実現させることができるでしょう。
建築家との相性も大事になりますので、考え方やこれまでの実績などを参考に「この人にお願いしたい!」という方に依頼しましょう。
この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
勝部 千尋
「書く・聴く・伝える」
執筆&犬猫お悩み相談『毛玉生活』運営
ライター/犬猫相談員
経歴
静岡県沼津市出身/京都芸術大学卒
大学卒業後、オーストラリアにワーキングホリデーと...
エリア:東京都
愛犬家住宅コーディネーター